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カセットテープの音質を再現するテープエミュレーター、Wavesfactory Cassette が発売されました。丁度カセットテープが気になっていたタイミングだったので早速購入しまして、今回はこれをレビューしたいと思います。

というのも、ちょうどカセットテープが気になっていたんですよ。先日こんなツイートをしていました。

https://twitter.com/JTTSofficial/status/1187327872177856512

2mixを一度カセットテープに書き出してからマスタリングというのをやってみたい。ハードオフでカセットデッキをdigってみますかね。

アラサー世代の私としては、カセットテープは幼い頃にちょっと触ったことがあるくらいですが、幼少期の記憶バイアスもあってか何となく惹かれる部分があるんです。結構前ですが某中目黒のカセットショップに行ったときにも心躍る感じがしました。そんなわけでデジタル臭い自分の楽曲にカセットテープのアナログな質感を取り入れたいな…と思っていました。

ただ、良さそうなカセットデッキを買ってテープを買ってリアンプ出来るオーディオ I/O を買って…軽く見積もりが10万円くらいになってしまったので躊躇していました。

そんな矢先にプラグインが出ました、と。

Wavesfactory Cassette とは

Wavesfactory というデベロッパー(Q10 等の Waves ではないです)からリリースされたカセットテープシミュレーターです。

いわゆるテープエミュレーターの一種ですが、カセットテープ及びカセットデッキの音質をエミュレートして再現してくれるという変わり種。

以下、公式の紹介文を Google 翻訳したものから抜粋。

カセットは、ビンテージカセットテープとデッキのサウンドをエミュレートするオーディオプラグインです。実際のテープに録音された多数の音声信号を徹底的に分析した後、慎重にモデル化されています。その結果、元のユニットと同じサウンドと動作が得られます。

カセットの刻印は、その軌跡のあちこちに懐かしさ、動き、アナログ感を瞬時に刻みます。

>ビンテージカセットテープとデッキのサウンドをエミュレート

もうこれだけでワクワクが止まりません。笑

上述の通り、カセットテープの温もり感を求めていたまさにそのタイミング。DTM をやる上で1つの命題とも感じている「アナログ感」「デジタル臭さの解消」を強力にサポートしてくれること必至な感じがムンムンします。

セールに加えて PluginBoutique のバーチャルキャッシュが溜まっていたので格安で購入できました^^

プラグインの特徴

テープの種類を4種類から選ぶことが出来、カセットデッキの挙動も細かくコントロールが可能です。ゴリゴリにエフェクティブにするようなことも得意な感じです。

なんというか、開発者のこだわりというかカセットテープ愛のようなものが見て取れる感じがします。

テープの種類

テープの種類は下記の4種類。実際に存在しているものを再現しているようで、カセットテープが欲しくてググっていた時に出てきた情報と一致して楽しいです。笑

以下また公式の Google 翻訳です。

  • Type I:標準で最も互換性のあるテープ形式でした。酸化鉄コーティング(Fe2O3)が特徴です。1960年代に初めて登場しました。
  • Type II: 1970年代初めに、二酸化クロム(CrO2)配合が導入され、高周波応答が明らかに増大しました。
  • Type III: 70年代半ばから80年代前半までの短い期間を過ごしたフェロクロム(FeCr)は、黄金時代には至りませんでした。
  • Type IV: 70年代の終わりに金属製の製品が登場しました。よりしっかりした低音と、より大きな高周波数が特徴です。

Type I はいわゆる普通のカセットテープ(ノーマルポジション)です。かなり籠もりますがファットでぶっとい音になって痛快です。

Type II はハイポジション(ハイポジ)といわれる高級テープです。ノーマルに比べると低域の太さはないものの、高域がスッと伸びる感じがしてスッキリしています。一番自然かも。

Type III はノーマルとハイポジのいいとこ取りをしようと開発されたものの流行らなかったらしいテープ。音はノーマルよりもさらに籠もってファットな感じ。どの辺がいいとこ取りなのかは本プラグインを試す限りではよく分かりませんでした。

Type IV はメタルテープという伝説の?超高級テープで、テープ1本数千円の世界だった模様。バブリーですね。音はハイポジ以上に高域重視でパリッと煌びやかな感じです。

デッキのセッティング

カセットデッキ部分の設定項目がかなり豊富で、開発者の愛が感じられるポイントかなと思います。

中央のデッキタイプは pro > home > micro と音質が下がっていきます。基本は pro で良さそうな感じで、micro のシャカシャカ感もエフェクト的に面白いです。

上記のフロントパネルに加え、歯車ボタンを押すとデッキの内部設定と思われる詳細なパラメータ設定項目が出現します。

正直細かい事はオーディオに明るくない自分にはよくわからないのですが、プリセットもいくつか用意されているのでそれベースで色々と弄ってみると良いと思います。

重ねて録音して劣化した感じや、テープがヨレヨレになってしまった感じなどを再現できるのがなんともマニアックですね。

なおプリセットの「Tascam」は、Tascam Portastudio 414 という4チャンネルのカセット MTR の挙動を再現しているっぽいです。他のプリセットは割とチープだったりエフェクティブなものが多い感じになっています。

オーバーサンプリングは192kHzになるようです。ここだけは not チープ。

クセは強いが良い感じ

率直に感想を言うと、メチャクチャ気に入りました。

味付けはかなり強めで結構ガツッと音が変わります。なのでハマらなければ全然ダメだと思われますが、個人的にはかなりしっくり来てしまいました。

プリセットベースでエフェクター的に使っても面白いのですが、音質変化を弱めの設定にしてマスターに挿してもめちゃくちゃ良い感じです。それでも味付けは強いのでその後のEQ調整はしたほうが良さそうですが。

普通にデジタルで処理して書き出したのでは得られない温かみ・温もり感みたいなものは強めに感じることが出来ますし、なんだか定位感も収まりが良くなる印象(逆に設定次第では崩すことも可能)。

基本は籠もるかシャカシャカになる性格でハイエンドな感じとは真逆の方向性なので、モダンな音場の広いパキッとした音には向いていないですが、通すことで「良くも悪くもなんだかリアルっぽく」なる感じがします。

個人的にはハイポジ(Type II)テープがお気に入りです。ノーマル(Type I)テープも、籠もりを許容できるなら独特のファット感・太さがとても良いですね。

レイテンシーは 1ms くらいなのでトラックにもガンガン挿せます。その場合は CPU 負荷を考慮してオーバーサンプリングを切ったほうが良さそうです。

まとめ

元々、プラグインではなくて実機カセットテープで本物のアナログサウンドを求めるんだ…という想いがあったので、このプラグインにそこまで期待していたわけではありませんでした。

ですが使ってみたら好感触で、即お気に入りのプラグインになってしまいました😇

(まあ、だからこそ本物のカセットテープを試してみたい欲が更に強くなっていますが…)

プラグインの特権として、本物を揃えるよりも圧倒的に便利かつ安価な点もおいしいですね。

また、本機は、VTM や Magnetite といった DTM プラグインでよく見かける類のテープシミュレーターとは異なる性格の「カセットテープシミュレーター」です。「通せば音が良くなる」系とはちょっと違って「カセットテープの音になる」系です。その辺りは混同しないようにしたいところではあります。

そんなわけで、強烈なアナログ風サウンドや、カセットテープが気になる方は Wavesfactory Cassette を試してみてはいかがでしょうか。ハマればハマる系です。

商品情報

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