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当ブログの機材レビュー等でもよく名前が出る「Djent」という言葉。近年 DTM 界にも随分と浸透してきましたので、今更ですが Djent について少し紹介したいと思います。

知っている人にとっては完全に「何を今更?」という内容ですので悪しからず。

Djent とは?

Djent はヘヴィメタル系の音楽スタイルの1つです。

Djent と書いて「ジェント」と読みます。D は発音しません。

語源はディストーションギターでブリッジミュートを鳴らした時の擬音語です。日本語では「ズン」ということが多い気がしますが、それの海外版みたいなイメージです。

元々は Meshuggah のギタリストが考えた造語だそうですが、それをスタイルないしサブジャンルにまで浸透させたのが、Periphery の Misha Mansoor と言われています。

プログレッシブメタル(主に Meshuggah)をルーツに持つためか、Djent 界隈にはプログレ志向の強いバンドが多いです。

Djent の歴史

2000年代後半頃、Misha Mansoor が今でいう「Djent っぽい音」を研究していて、2010年に発売された Periphery のファーストアルバム「Periphery」で Misha が提唱する Djent が一般的に界隈に知れ渡ることとなります。

また当時は「got-djent.com」というインターネットフォーラムを中心に盛り上がりを見せていました。(現在は閉鎖)

その後色々なバンドが出現して盛り上がりを見せ、各サブジャンルでも Djent 要素を取り入れたバンドが増えるなどして2010年代のメタル界隈で1つのムーブメントのようになっていました。

2010年代中盤には既にブームは収束したものの、以降もスタイルの1つとして一定量シーンに定着したと思います。

またメタルにおける現代的なサウンドメイキングの指標という点でも Djent が与えた影響は大きいと思います。それもあってか、2010年代後半以降は DTM 機材(ソフトアンプシミュレーターや音源など)に Djent 系の製品が多く登場しています。

音楽的な特徴

具体的に Djent がどんな音楽スタイルなのかというと、重要なポイントは以下の2点になると思います。

・トリッキーなリズムのヘヴィリフ
・多弦ギター/ベースを用いた特殊な音作り

それぞれ演奏における特徴と音作りにおける特徴ですね。順番に見ていきましょう。

トリッキーなリズムのヘヴィリフ

リズムのアクセントが一見どこだか分からないようなパターンや変拍子、ポリリズムなどを織り交ぜたトリッキーなヘヴィリフ。これが Djent なフレーズです。

低音弦を単音で刻むことが多いと思います。

Wikipedia 曰く、「メロディではなくリズムによって特徴づけられるギターリフ」とのこと。これが非常にわかりやすい表現だと思います。

多弦ギター/ベースを用いた特殊な音作り

いわゆる「Djent っぽい音」というのがありまして、これが Misha Mansoor が Meshuggah を参考に研究していたサウンドメイキングの成果なのでしょう。

ギターの音作りにおける具体的な特徴としては以下です。(当サイトは DTM ブログなので具体的な処理内容を挙げます。)

・7弦または8弦ギターを使い、更にダウンチューニングをするなどして超低音を出す
・200~300hz 付近からバッサリとローカットをし、低域はベースに任せる
・1khz 付近を大きくブーストする

こうすることによって、従来のヘヴィギターには無かった機械的な質感と濁らない超低音を実現しています。これがいわゆる Djent っぽい音で、チューニングを下げつつローカットをするという一見矛盾したことをやるの大きなポイントかと思います。

ベースはこれに合わせる形になりますが、ローチューニングが割と限界なので5弦+ファンドフレットのベースを用いたり、更にピッチシフターを使うこともあります。アンプやプリアンプは Darkglass が人気ですね。

なお例外はそこそこ多いです。かの Misha Mansoor も曲によっては6弦ギターでドロップCチューニングを用いていたりしますし、レギュラーチューニングで Djent っぽいプレイをしているバンドも中にはいます。

参考バンド/音源

有名なものをいくつか紹介します。代表的なものを選んだらやはり2010年代前半の作品が大半になりました。

Periphery – Icarus Lives!

件の Misha Mansoor 擁する Periphery の 1st アルバムにおけるタイトルトラック。

Djent を世に広めた曲と言っても過言ではないでしょう。懐かしい。

Animals As Leaders – Physical Education

Periphery と同時期に界隈を盛り上げたのが3ピースのインストプログレメタルバンド、Animals As leaders です。

ギタリスト Tosin Abasi の超絶技巧による鬼畜フュージョン色が強いですが聴きやすさもあり、天才とはまさにこういう事と思わされます。

Born Of Osiris – M∆CHINE

プログレッシブメタルコア系のバンド、Born Of Osiris の代表曲です。

この曲でやっていること自体はミステリアスなウワモノを乗せながらチャグっているだけとも言えますが、この音作りや雰囲気はメタルコアやデスコア系の強い Djent を代表する質感だと思います。

The Algorithm – Trojans

サンプラーとドラムの2人組。Djent /プログレメタルからエレクトロミュージックへのアプローチが斬新なバンドです。

元々1人バンドだったのですが、いわゆるロックバンド形態にならずこのような体制になってエレクトロ色を継続した点に DTM 時代の幕開けを強く感じたバンドです。

Hacktivist – Elevate

個人的に Djent 系では最も好きなバンドが Hacktivist です。

わかりやすい Djent リフを貴重としながらもプログレに傾倒するのではなく、ハードコアやニューメタルへのアプローチをとってボーカルにラッパーを擁し、ラップメタルとしたスタイル。控えめに言って最高です。

ラップも Grime という UK 発のやや新しいスタイルを貴重としており、90年代のイケてる方法論を現代のスタイルで再構築しています。

Meshuggah – Bleed

はい出た。最早 Djent の元ネタそのものと言っても過言ではないでしょう。

この曲およびこの曲が収録されたアルバム「obZen」は近現代 Meshuggah を代表する作品であると同時に Djent の絶対神のような作品だと思います。このシャカシャカな重低音が時代を変えた。

再生回数がエグいっす。

まとめ

最近は Djent も定番と化し、言葉を出すまでもなく当たり前のように Djent のエッセンスが入っているメタルが多くなったように感じています。(メタル系の Youtuber など特に)

2010年代に活躍したバンドの中には勢いがなくなってしまったバンドも居り、音楽シーンのトレンドを追っている人にとっては「Djent はオワコン」と映る部分もあるかもしれませんが(少なくともトレンドではなく定番になりましたし)、DTM 界隈では最近ホット。この流れの感じは一昔前の Dubstep に似ているような…?

まあ、近年になって DTM 機材に Djent 系のものが増えてきたという事は、それだけ Djent という音楽スタイルやシーンが成熟・熟成されてきたという事であり、そのノウハウがデジタル機材の世界に流れてきたという事ですよね。

改めて、知っている人にとっては何を今更という話だったとは思いますが、DTM でバンドモノを作っている人は参考までに是非ご認識の程を。最近やたら8弦や9弦といったギター音源だったりモダンな音のアンプシミュレーター等が出まくっている背景にはこういう物があるのです。

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