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こんにちは。Lostmortal@DTMブログ (@lostmortalmusic) です。

エレキベースのミキシングで難しいポイントの1つに「低域の量感が安定しない」という点があります。今回はそれを手軽に解消するための方法を紹介したいと思います。

ベースのダイナミクス問題

エレキベースを DI 録音したことのある方なら分かると思いますが、エレキベースって生の音だと音量差のバラツキが大きい楽器です。

もちろん生のままで音源に使うことは無く、アンプを通した時点である程度均されたり、ミキシングでも必ずコンプレッサーを使って調整をすると思います。

奏者側だとよく「手コンプ」などといって、弾き方で音量差を調整しろなどと言われることがありますが、それはまた別問題というか、それにしても、です。上手い人が絶妙に演奏したとしても、やはり生のままで使うというケースはないでしょう。

何故かというと、低域の音量感にバラ付きが出てしまうと楽曲全体が安定しなくなってしまうからですね。なのでベースの量感はピシッと均したいところ。その上で出すところは出す、引くところは引くとしていく方が良い結果に繋がるはずです。

量感を安定させるのは難しい

しかし、ベースの量感を安定させるのって結構難しいんです。

低域ってエネルギーが強いので、そのぶんエネルギーのバランスの乱れを感じ取りやすい、というのが一点です。

もう一つが、エレキベースという楽器の特性です。全ての押弦ポジションで同じ音量がする楽器ではないですよね。

同じ音程でも弾き方はもちろん、弾く弦によっても変わります。例えば4弦7フレットと5弦2フレットは同じ音程ですが、どっちを弾くかで音の質感が違ってきますよね。当然量感も変わってきます。

また、ベースって素材が木材なので、天然素材特有の微妙な個体差があったりします。私が持っているベースは、3フレットと4フレットの音量が大きめに出る個体なので、そこだけ少し弱めに弾くように意識していたりしますが、それでもニュアンスなども含めると限界はあると思います。

こういう素材の元々のバラツキって、コンプレッサーをただ通すだけではうまく均しきれない場合も多いんです。

そこで薄く何十にもコンプを適用したりするんですが、今回は低域を鳴らすことにフォーカスした処理方法をご紹介します。

マルチバンドコンプを低域に適用

ということで今回紹介する処理はこのスクショの通りになります。マルチバンドコンプレッサーを使って低域のみに圧縮を適用します。

なおマルチバンドコンプはダイナミックEQでも代用可能です。マルチバンドコンプとダイナミックEQは、プロのエンジニアを目指すわけでもなければ殆ど同じものとみなして良いと思います。

今回のスクショは Waves の C4 になります。定番中の定番ですね。

ここでやっていることとしては以下になります。

1. 低域以外をバイパスする
2. 低域バンドの範囲を 0 ~ 90hz 台付近までとして、その帯域にのみコンプを適用
3. 基準となるフレーズで 3db くらい圧縮されてカーブが真っ直ぐになるように設定

他の値はお好みで良いでしょう。デフォルトでも問題ないと思います。

こうすることによって、入力が大きければ多く圧縮し、少なければ少なく圧縮するというアプローチを低域のみに適用することができるわけです。

低域のみにアプローチできることによって、元の素材の質感に大きな影響を及ぼしません。低域って音にならない音(≒エネルギー感、量感)が大きなウエイトを占めますからね。

これで元音を大きく変えることなく低域の量感を整える処理が出来ました。更にベースエンハンサーなどをかましてやるとより良い感じになります。

マルチバンドコンプのおすすめプラグイン

マルチバンドコンプのプラグインも何を選べばよいのか悩みますよね。なのでいくつかピックアップして紹介したいと思います。

Waves C4 & C6

上記で紹介したまさにそれですが、やはり天下の Waves ですね、使いやすいです。設定も上記を真似るだけでOKです。

4バンドの C4 と6バンドの C6 とありますが今回の処理で使うのは1バンド+バイパスなのでどちらでも問題ありません。

大人気の Gold バンドルに含まれていますので持っている方も多いかもですね。持っていなければ Gold は買っておきましょう。

TDR NOVA

無料で使えるダイナミックEQです。無料だけどクリアできれいな音です。

有料版もあり使いこなすならそちらの方をオススメしますが、今回紹介した処理なら無料版でも問題ないです。

iZotope Neutron & Ozone

近年大人気の iZotope が誇る AI 自動ミキシングツールの Neutron & マスタリングツールの Ozone。

それぞれ個別プラグインにマルチバンドコンプとダイナミックEQが含まれています。クリアで自然な品質も素晴らしいので、Neutron か Ozone の Advanced 版を持っている方はこれらの個別プラグインで良いでしょう。

ちなみにイメージ画像の処理はこちらの内容です。

まとめ

いかがでしょうか。マルチバンドコンプで低域だけを処理するというちょっとしたテクニックではありますが、これをやるだけでもベースの量感が整って収まりが結構良くなってくるのでオススメの小ワザです。

やっていることがシンプルなので沼にハマることもないですし、エレキベースのミキシングで詰まっている方は試してみてください。

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