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こんにちは。Lostmortal@DTMブログ (@lostmortalmusic) です。

VOCALOID じゃない初音ミク、「初音ミク NT」のプロタイプ版がクリプトンフューチャーメディアから届きました。早速使ってみたので紹介したいと思います。

初音ミク NT プロトタイプ

初音ミク V4X から数年…初音ミクの新作は VOCALOID エンジンを使わない「非ボーカロイド」としてリリースされることが発表されました。

それが「初音ミク NT」です。NT はニュータイプの略とのこと。

VOCALOID エンジンを使わずにどうするのかというと、クリプトンフューチャーメディア独自開発のエンジンを用いるとのこと。それによって、ボカロ特有の「機械音声っぽい味」よりも自然な歌声を目指して開発しているとのこと。

そんなリリースがされたのが確か2019年くらいだったと思います。

私事になりますが、初音ミクは V3 からアップグレードしていなかったものの、先日リリースしたアルバムに向けた楽曲制作以降はボーカル音源として初音ミクを久しぶりに使用しており、丁度アップグレードしたいと思っていたタイミングでした。

というわけで、予約注文が始まった時に申し込んでおいたんですね。

で、当初は2020年3月くらいに仮リリースするよという話だったのですが、予定から3ヶ月ほど遅れてようやっと予約ユーザーの手元にベータ版が送られてきた次第。

それが今回紹介する「プロトタイプ版」になります。

プロトタイプ版は、現時点で開発が完了しているところまでを実装したもので、予約ユーザーへ向けた体験版のようなものになっています。

予約ユーザーの方々へ個人的なお願いなのですが、社会情勢的に大変な状況下でもあったため遅れに関しては寛容に受け止めて欲しいと思います。私は CFM の関係者では全くないのですが、新規プロダクト開発の大変さはよく知っているので色々察する所があります…。

初音ミク NT は Piapro Studio 専用

サムネイルにもしたこちらの画像は自分でちょっと使ってみた画面になるのですが、こちらからも分かる通り、基本エンジンは従来品でも使われていた Piapro Studio になります。

ただし VOCALOID から切り離されたことによって Piapro Studio 専用となっており、Piapro Studio としても本作から「Piapro Studio NT」という新バージョンのエンジンになっています。

Piapro Studio NT も旧版からパワーアップしており、打ち込んだ音の波形がリアルタイムで表示されるようになって変更の結果が分かりやすくなったり、ピッチカーブが弄れたりその他新機能が追加されていてより細かな調整が可能になったという印象です。

細かな使い勝手は旧バージョンと微妙に異なる部分もちょくちょくありますが、使っていれば慣れるのではないかと思います。一般的な DAW のアップデートのような感覚に近いですかね。

ちなみにプロトタイプ版はスタンドアロン専用なのか、普段使用している DAW に Vsti では読み込めませんでした。まあ、あくまで機能に触れる体験版という位置づけなのだと思います。なおメールには Studio One APE のシリアルが添付されていたのでそちらを入れれば読めるのかも知れませんがそちらは未検証です。

基本仕様は大きく変わらないが、進化している

従来ユーザーに慣れ親しんでいるであろう Pipro Studio で引き続き操作できるのも然りですが、初音ミク本体の声質にも大幅な変更はないです。

まあ声質に変更があってもそれはそれでどうかと思いますが、とりあえず「VOCALOID から切り離されたことによって何か別のものになってしまった…」というような事はなくてひと安心です。

とはいっても進化している事はしっかり感じられます。

ベタ打ちの状態でもはっきりと分かるレベルで、旧製品よりも声のヌケが良くクリアになっています。現代的な明瞭さを手に入れた感じ。

声のつながりもより自然になっており、初音ミクらしさをしっかり残しながらも機械音声チックな不自然な感じがかなり払拭されている事がわかります。

より細かな設定が可能になった

声の設定項目は「NT Parameters」という新規仕様になっており、旧製品よりもかなり色々調整できて色々な表現できるようになっています。

「Note Gain」で1音ずつボリュームを、「Consonant Rate」はノート毎の声の繋がり具合を、「Atacck Speed」ではノート毎のアタック感を調整可能で、上から見ていくだけでも既に欲しかったパラメータのオンパレード(笑)

Dynamics ~ Formant もより表現豊かになっている印象を受けます。フォルマントは特に自信があるのが「Super Formant Shifter」なる名前になっていますね。

それから面白いのが「Voice Voltage」。声の力み具合を調整できます。上げるとガツッと歪みっぽくなり、下げると憂いのある感じになり Breathiness と組み合わせてウィスパーボイス系も作れます。

そしてピッチカーブがエディット出来るようになりました。

上のイメージの赤い線がピッチカーブになりますが、これを鉛筆ツールなどで手書きでエディット出来ます。これを駆使して細かなピッチの表現、声の揺れ具合やうねり具合などを手書き調整していくことが出来ます。

かなり使い込めそうですね。沼とも言いますが(笑)

まさかのデスボイスが可能に

GUI の左下に「Voice Drive」という項目がありまして、これはその名の通り、声を歪ませる機能です。

声の歪みといってもエフェクターのオーバードライブとは違いまして、いわゆる「ガナリ声」「デスボイス」系の音が出せるようになっております(笑)

「Rough Voice」や「Pop Growl」、これらはガナリ声系で、ゴロゴロとした唸るような歌声に出来ます。

それだけでも凄いのですが、下の選択肢を見ていくと、「Growl」「Grunt」「Guttural」という項目がありますね…。

グロウル、グラント、ガテラル…つまりこの辺は完全にデスボイス系になります。いや、まさかこんな所でガテラルなんて言葉を見かけるとは(笑)

Growl、Grunt、Guttural と徐々に強烈な声になっていきます。ガテラルもはやただのノイズと化していますが、それも含めて「ボカロのデスボイス」感がありますね。

無論これまでの VOCALOID 製品にデスボイス機能などありませんが、以前からボカロを強引に加工してデスボイスを表現するツワモノが一部界隈にはいましたよね。今回 NT になって遂にそれが公式実装になってしまったと(笑)

初音ミク NT プロトタイプ まとめ

初音ミク NT 、まだちょっと触ってみた感じではありますが、プロトタイプとはいえ、なかなか好印象ですねー。

正直 VOCALOID から切り離されるという所に一抹の不安がなかったわけではないです。天下の YAMAHA のシステムを捨て去って独立するわけですからね。

しかしいざ触ってみたら、従来製品の基本的な仕様や使い勝手を継承しながらも凄く進化していると思いました。

細かい調整がかなり出来るようになっていて、これまで出来なかった痒いところにも手が届くし、色々とクリエイティブの可能性が非常に広がっているように感じました。

個人的には、これまでにあった初音ミク Apeend の音声ライブラリも出てくれると良いなと思っているのですが(Darkを愛用しているので)、なくても自力でエディットして作り込めるだけのポテンシャルはありそうな気がしました。

正式版は8月リリース予定とのことですが、楽しみになってきました。ボーカル音源における大金字塔の新たな挑戦を見守りたいと思います。

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