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こんにちは。Lostmortal@DTMブログ (@lostmortalmusic) です。

ミキシングの際に出てくる立体感や奥行きといった概念。平面的なミックスになってしまうとダサいなどと言われることもあるようですが、個人的にもそう思いますので、ミックスの質を上げるためにもこれらを意識していこうという話をします。

言語化するのもなかなか難しいのですが、うまく伝えられるように頑張ります(笑)

ミックスに立体感や奥行きがある方が良い理由

まず、立体感や奥行きが何故必要なのかという話をしたいと思います。

端的に言うと、楽曲全体の質感を豊かにするためです。

立体感や奥行きがあったほうが…というのを言い換えるなら、つまりX軸Y軸だけでなくてZ軸方向にも情報量があった方が豊かだよね、という事です。

逆に、立体感や奥行きがないということは、のっぺりとした平面的なミックスだということになります。ペラペラな音といえばわかりやすいでしょうか。

音圧戦争の記事でも書きましたが、前面にペッタリと張り付いたような音になってしまうと、楽曲本来の魅力をスポイルしてしまう場合があります。※ただし音圧戦争の場合は、マスタリング時に音圧を上げすぎた結果として音が潰れてのっぺりしてしまうので、ミキシングの話とは違う概念になります。

ペラペラな安っぽい音にならないようにするためにも、立体感や奥行きを意識してミックスをする必要があると思います。

立体感や奥行きとは何か

ミックスにおける立体感や奥行き感ってそもそも何なのでしょうか。

上記でX軸、Y軸、Z軸という例えを出して、立体感や奥行きはZ軸だよねという言い方をしました。Z軸方向の情報量が多いものが、立体感や奥行きのあるミックスであるとここでは定義します。

では、X軸が LR のパンニングや M/S で、Y軸が 20hz~20khz(もしくはそれ以上)の周波数帯域だとすると、Z軸って何が該当するのでしょう…?

ここが立体感、奥行き感を捉える上での難しいところで、「Z軸はこれだ」と一発で言いきれるパラメータがないんですよね。

奥行きがあるかどうかって、結局のところ、いくつかの要素を複合的に聴いて判断していく必要があります。つまり聴いて感じ取れるようになる必要があります。

参考までに

Youtube に比較音源として多少参考になりそうなものがありました。動画ファイル自体の品質にもかなり差がありますが、参考までに。

下記、メタルコアバンド As I Lay Dying の初期の楽曲です。名曲ですが、ミックスはペラペラだと感じませんか?

そして下記が新しい楽曲。こちらの方が、立体的な情報量がかなり多いと感じられませんでしょうか。

立体感や奥行きの出し方

具体的にどういったことをすれば立体感や奥行きを出していくことが出来るのかについて、いくつかの要素を挙げてみたいと思います。

「立体感」と「奥行き感」でまたちょっと違ってくるんですけど、最終的に目指したいところは一緒です。奥行きをコントロールして立体的に仕上げるようなイメージ。

録音状態を良くする

ギターなどの楽器を録音する際の録音品質を上げます。

良い音で録音できたものって、ヘッドルームに余裕がある感じがあったり豊かでリッチな質感だったりすると思います。これってZ軸方向の情報量があって立体的だからです。つまり、純粋に良い音で録音できれば、より立体的な音像のソースとなるでしょう。

ちなみに手っ取り早く良い音で録音する方法は、高い機材を使うことです(笑)

ダイナミクスを均しつつ大きくする

主にドラムに躍動感を持たせたいときですが、オーバーヘッドのトラックにキツめにコンプを掛けたりします。

下手すると余計ノッペリしてしまいますが、ここでうまくパチンパチンとした感じや良い意味での残響のうねりが作れると、ドラムに躍動感が生まれてより立体的な音像になります。

トランジェントを弱くする

トランジェントとは音の立ち上がりのスピード感です。アタックに近いですが、「アタックの輪郭」みたいな感じですね。

このトランジェントを弱くすると奥に引っ込んだような感じになります。遠くで鳴っている音って立ち上がりのスピード感が明瞭には感じられないと思います。

なので、奥行き感を持たせる手段の1つとしてトランジェントを弱めるという方法が使えます。(他の項目にも言えることですが、複合的にやる必要はあります)

高域を弱くする

遠くで鳴っている音って、近くで鳴っている音に比べてハイ落ちしているように感じませんか?というかハイ落ちしています。

音が空気を伝わって進む際に高域の方が減衰しやすいらしいです。雷の音なんかをイメージするとわかりやすいかと思いますが、中低音中心にゴロゴロとしていますよね。

なので、緩やかに高域を抑えていくような EQ 使いをすると、音を後ろに引っ込めることが出来ます。

リバーブを使う

空間を演出する方法としてリバーブはよく挙げられると思います。

残響が大きいほうが遠くで鳴っている感じがしやすいのと、残響を足すことで上項目のトランジェントや高域を抑えることにもなります。

ただ、自分でリバーブで距離感をコントロールすることは初心者には難しいので、ルームやホール系のリバーブをプリセットベースで使うことを始めは推奨します。(個人的にも苦手です)

立体的なミックスとは

立体感、奥行き感の出し方が分かったところで、最終的に立体的なミックスに仕上げるためのポイントをまとめます。

・トラックやバストラック単位で、曲のメインになるものは特に、音質やダイナミクスに気を使って立体感を求めていく

・ミックス単位では、全てのトラックを前に出すことはせずに、奥に引っ込ませるべきトラックを引っ込ませて奥行きを作る

・常にZ軸方向の質感に意識を向ける

奥行き感などはあくまでやりすぎ注意ではありますが、これらを意識してミックスに臨むことで立体的な仕上がりを目指すことが出来ると思います。

簡単な概念ではないと思いますし、「これを使えば1発で立体感が得られる」みたいな便利プラグインも特にないので、経験値がものをいう部分が大きいです。とにかく意識してやり続けることが大事ですね。リファレンスもしっかり聴きつつ。

さいごに

いかがでしょうか。やはり言葉で書くのが結構難しかったですが、少しでも伝われば幸いです。

自分自身でも立体感や奥行き感を意識できていなかった頃とするようになってからでは曲の仕上がりが結構違ってきたと感じています。

是非、良いミックスを目指すために意識していきましょう。