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こんにちは。Lostmortal@DTMブログ (@lostmortalmusic) です。

ミキシングにおける「分離感」とは何でしょうか?それぞれのトラックが格好良く作れても、ミックスするとイマイチ…そんな時にこの「分離感」を意識してみるべきです。

分離感がないとどうなる?

1つ1つのトラックは格好良く仕上がっていても、オケとして混ぜると全然綺麗に鳴らない…というような事態を経験した事はないでしょうか?

これは、それぞれのトラックの美味しい部分が衝突してしまって、お互いに潰し合っている状態です。

これこそが分離感が失われている状態と言えます。それぞれのトラックが明瞭に聴こえない事に加え、全体的にハッキリとせず籠もった感じの音になってしまいます。

問題を整理すると、

  • トラックが思ったように鳴らない
  • ミックスが籠もる

この2点ですね。

分離感のあるミックスとは

ではミックスに分離感がある状態とは何でしょうか?

オケの中でそれぞれのトラックが埋もれたり籠もったりすることなく、それぞれがハッキリと明瞭に聞こえる状態になっていることです。

全てにおいてゴリゴリに分離感を求めるのが正解というわけでは必ずしもないのですが、モダンな音楽ほどしっかりと被り感を解消して分離の良いミックスに仕上げている傾向があると思います。

Djent などが良い例ですね。

とはいえ、どのみち分離できていないと上記のようにトラックが埋もれたり全体的に籠もったりする微妙なミックスになってしまいます。

よって、分離具合をどの程度にするかは適宜調整するにしても、分離感のあるミックス自体は常に意識した方が良いです。

分離感を良くするために出来ること

分離感が悪くミックスが明瞭にならない状態を解消するために、分離感を良くする方法をいくつか紹介したいと思います。

これらを複合的に組み合わせて良いミックスを目指していきたいですね。

EQで帯域を整理

ピークとなる帯域が被っているトラック同士は、美味し部分が衝突して潰し合いになりやすいです。

それぞれのパートの肝となる帯域が被らないように、イコライジングで帯域の棲み分けをしてやる必要があります。

特に、エネルギーの強い低域や、競合が沢山いる中域には気を使った方が良いですね。

低域の棲み分け

バンドのもののミックスの場合ですが、低域は主にバスドラムとベースの領域です。(他のジャンルも大体そうだとは思いますが)

これらをピークの帯域が被らないようにミックスしてやることが重要です。どちらかが上でもう片方を下に配置してやるイメージですね。

また、ギターなど他のパートが不要な低域成分を含んでいないかを確認し、含んでいる場合は適宜ローカットを入れましょう。

バスドラムとベースを分離させるミックスする方法については以下で詳しく書いています。

中域について

中域は、ギター、ボーカル、シンセ、スネアなどなど、とにかく大事なパートが多く鳴っている帯域になります。

これらを EQ だけで整理し切るのは難しい部分もありますが、なるべく各トラックごとに極力不要な中域は削るようにしたいですね。

スネアだと 400hz 付近は基本不要になりますし、ギターは 500hz 付近を落とすとスッキリします(但しやりすぎるとドンシャリになります)

また、バスドラムが含む中低域の 250hz 付近も不要になることが多いですね。

ボーカルやシンセは声質や音色によって変わってくるので何とも言えませんが、他のパートで譲れない部分に関して帯域を明け渡すなどの調整を入れると良いです。

パンニング

EQ が帯域の上下を整理するものだと考えると、パンニングは左右方向です。左右方向への分離も有効です。

センターに置く必要のないパートは左右どちらかに少しずらすなど。スネアも基本はセンターですがリアルなドラムセットを意識して若干ずらすというのは有りです。

ギターなど広がりを演出するパートは左右に思い切り振って、更に M/S 処理で Mid を落としてやるとかなり帯域を明け渡すことが出来ます。バッキングボーカルやコーラスも(弱めに)似たような処理をすると良し。

ピアノやシンセなどのウワモノ系はステレオイメージャーなどで広がり感を出してやると、ドセンターのトラックとの被り感はかなり解消します。

トランジェント

EQ で上下方向、パンニングで左右方向の整理が出来ました。更にトランジェントやアタック&リリースを意識することで、時間軸方向の調整が可能です。

どういうことでしょうか?

極端な例ですが、同じ中音域でも、パツンとアタックを出したいスネアと、立ち上がりが遅くフェードインするように鳴る音色のシンセでは被りは発生しにくいですよね?

コンプレッサーやトランジェントシェーパーなどで、立ち上がり感を調整することで時間軸におけるピークの被りをずらすことで分離させるという発想です。

音色や質感が結構変わるので適用できるシチュエーションは多くないかも知れませんが引き出しとして持っておくと良いと思います。

アレンジから見直す

これは現状ではもうどうにもならない時の最終手段かも知れません。

同じような音程・帯域で色々な音が鳴りまくっているとしたら、そのアレンジにそもそも無理がある、ということかも知れません。

トラックを減らす、フレーズのラインやオクターブを変える、シンセ等の音を中域が少ない音色変える…などなど、根本的に被りや衝突が発生しにくいアレンジに変更することで、抜本的な部分から解消してしまうという事です。

プラグインに頼る

オート EQ などと呼ばれる類のプラグインを使うと帯域の被りを自動補正してくれます。

代表的なものとしては、SoundTheory GullfossSonible Smart:EQ、iZotope Neutron 内包の Sculptor などですね。

主に中低域の、競合過多で団子になっている部分をスッキリさせてくれるので、状況によっては活用してみると良いかも知れません。

Gullfoss のレビューはこちら。

まとめ

今回紹介した分離感を意識すると、初心者でもそれっぽいミックスが出来るようになる…とまでは言いませんが、5歩か10歩くらい近づけるのではないかと思います。

私自身も、分離感ないし帯域整理の概念を学んで意識するようになってからは、ミキシングが上達したな、というのを実感しました。(完全なド初心者からある程度まともに出来るようになった)

なお帯域整理については、石田ごうき先生の「音圧アップのためのDTMミキシング入門講座!」を読むと非常に理解が深まります。

この書籍については下記記事で詳しく書いていますので、こちらも是非参考にしてみてください。